ひっそり絵とか日記とか
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ゆめにっき
今回はユアグローよりも漱石寄りだったな!
今回はユアグローよりも漱石寄りだったな!
3人の画家が住んでいる森があった。
夏にはこども達がキャンプなどしに来るが、冬は葉を落とした
木々が線香の残り滓ように立ち並び、わざわざ訪ねる者など
いないという森だった。
そこに今にも崩れ落ちそうなボロ家が建っており、
3人の画家が住んでいる。
ある日、金策から戻ってきた画家の前に、女の肖像を
描いていた男が一房の葡萄を突き出した。
僕の絵から葡萄が無くなって、これがあったのだ、と
その男は言った。
受け取った男は彼が女の背景に葡萄を載せた皿を描いていた
事を知っていたので、おおかたデッサンに使った物を
持ってきたのだろうと大して気にも留めていない。だが
その日の食事にも困って金策に走らねばならぬものが
葡萄など買う金を持っているだろうか?
それより一杯やろう。
金策の画家は懐からビンを取り出した。
つまみがあるなら上等さ。
二階の一部屋にはもう一人男がいる。
板張りの床の上にカンヴァスを置き、しきりに何かやっている。
ワインと葡萄があると言うと、のそのそと立ち上がって
きしむ階段を降りて来た。
3人がテーブルに着いたのを見ている私は悲しくなる。
3人ともすばらしい腕を持っているのだ。だが、評価
されるのは彼らが死んで何百年も経った後なのだと私は知っている。
「どうして自己表現をするのですか?」
頼まれた物でも描いていれば暮らしに困りはすまい。
目を上げた画家の一人がゆっくり答える
僕らはこうしないと生きてゆかれないからね。
私は、彼らが夭折する事を知っているのだった。
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